川口クルド人問題ばかりが争点になっていましたが、今日の記事「「日本は難民に冷たい」という批判は本当?」を読んで、難民問題の全体像を知りたくて「移民と日本人の平成史」というシリーズ記事を見つけましたのでご紹介します。
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〇🔗「日本は難民に冷たい」という批判は本当? 実は〝無関係〟な申請者
〝一方、日本における申請者は、欧州諸国で認定率が低いカンボジアやスリランカなど5カ国が66%を占める。「難民」というと、自国で命の危機に直面し保護を求め逃げてくるというイメージを持つかもしれないが、日本の難民認定申請者は、観光目的などで入国した「短期滞在」や「技能実習」など「正規滞在者」が94%である。つまり、多くは経済上の理由などで日本滞在を延長しようとする、難民とは無関係の申請である可能性があるということだ。「日本が難民に冷たい」などという批判は、単純には受けとれないことが分かるだろう。”
〝わが国による難民保護を巡る議論も客観的なデータや社会情勢、欧州のこれまでの経験を考慮した上で進めていくべきだろう。また日本政府の難民審査や保護は実際はかなり公平なのだが、それが報道されてこなかったのは残念である。”
元国連専門機関職員 谷本真由美氏の記事です。皆様に読んでいただきたいところですが、有料記事です。
続いて「移民と日本人の平成史」というシリーズ記事です。
1.🔗川口のクルド人はなぜ増えたか きっかけはイラン人、民主党政権で難民申請激増
〝クルド人の来日初期から支援を続ける松沢秀延さん(76)によると、川口にクルド人が住み始めたきっかけは、先に来日していたイラン人の存在だったという。「80年代半ばから、市内の造園会社の下請けで不法滞在のイラン人がたくさん働いており、その中にイラン国籍のクルド人が混じっていた。90年代に入り、彼らを頼ってトルコからもクルド人が来日するようになった」”
〝民主党政権時代の2010(平成22)年には、難民申請から6カ月たった申請者に対し一律に就労できる運用を始めた。目的は申請中の自活のためだったが、「申請すれば働ける」と、目的と手段が逆転。10年に全体で約1200人だった申請はピークの17年には約16倍の約2万件に急増した。翌18年に再び就労を厳しくしたところ、申請は半減した。”
2.🔗「代々木公園のイラン人」はなぜ激減したか ビザ免除停止の陰に入管幹部の英断
〝平成初頭、不法滞在と犯罪という不名誉な行為ばかりが注目された人々がいた。中東から来たイラン人だ。東京の代々木公園や上野公園は彼らの姿で埋まり、変造テレホンカードや薬物の密売が横行した。彼らは日本政府の政策転換の結果、数年後には激減した。”
〝政府は89年1月、バングラデシュとパキスタンとのビザ免除措置を一時的に停止した。イランについても91年、来日イラン人による刑法犯や不法就労の急増を受け、警察庁が外務省にビザ免除措置の一時停止を要請した。翌92年4月、イランとの友好関係を重視する政治的立場から懸念の声も出る中、一時停止が決定し、ビザの取得が義務づけられた。”
〝この結果、イラン人の不法滞在者は92年の約4万人から翌年は約2万8千人に激減。2001年には約4千人と、ピークの10分の1まで減った。”
3.🔗日系ブラジル人はなぜ「移民化」したか 「多文化共生」先駆け、偽装戸籍で「孫」1千人も
〝「移民」と日本人の平成史は、日系ブラジル人らの「デカセギ」ブームにより本格化した。日系人とは、かつて中南米などへ移民した日本人の子孫。わが国に定住する「移民」の先駆けとして、一時は30万人を超えた。それは日本人にとって「多文化共生」の始まりでもあった。”
〝90年施行の法整備は、「平成の大改正」とも呼ばれ、現在の外国人受け入れの基本的な考え方にもなっているという。過去に適用事例はなかったものの、入国時に「永住者」の在留資格を与える規定を削除。永住者の資格を得るには、まず別の在留資格で日本に滞在することを求めるようにした。これは、わが国が直接的に「移民」を受け入れないことを明確化したものだ。”
4.在留外国人の4人に1人が中国人 天安門事件で「特別運用」、近年は制限なしの永住者急増
〝わが国に在留する外国人約341万人のうち、中国人は約82万人で「最大勢力」だ。4人に1人の割合になる。かつては密航者ら不法滞在者による「中国人犯罪」が社会問題化したが、近年は農村出身の技能実習生からタワーマンションに暮らす富裕層まで多様化。永住者が増える「移民化」も進んでいる。”
〝永住者は毎年約1万8千人のペースで増加。昨年末時点で約33万人、在日中国人の4割を占め、事実上の「移民化」が進む。永住者であっても彼らが外国籍であることは変わらない。
中国は2010年の国防動員法により、共産党政権が有事と認めた際、海外在住の中国人にも軍務への協力を義務づけている。”
5.「難民ビザ」申請理由に近隣トラブル、遺産相続、夫婦げんか 弁護士保証も1400人逃亡
〝入管庁が2019年、難民申請を認めなかった人の主な申請理由を調べたところ、全体の約37%は「本国の知人や近隣住民、マフィアとのトラブル」だった。他は「本国の治安に対する不安」「日本で働きたい」「遺産相続や夫婦げんかなど親族間のトラブル」「健康上の問題や日本での生活の長期化など個人的な事情」で、難民条約上の「迫害を受ける恐れ」とは無縁な理由ばかりだった。”
〝6月10日に施行される改正入管難民法は、収容に代わる「監理措置」を新設。入管が認める場合、弁護士や支援者ら「監理人」の下での社会生活を認める。監理人は、仮放免者が不法就労や逃亡した場合、入管庁に報告義務があり、怠ると10万円以下の罰則がある。ただ、これまで保証人になってきた弁護士らは「報告義務があることで、仮放免者との信頼関係が保てなくなる」としており、新たな制度の行方は不透明だ。”
昔、上野に行くとイラン人だらけだったのを思い出しました。そしてブラジル移民も問題を起こしていました。私自身は以前書いたように団地管理組合役員をやっていた時に「中国人」問題で苦労しました。川口クルド人問題に至るまでにいろいろとあったし、これからも続く問題なのですね。