明日への選択 令和5年9月号に、「志明館開校」に当たってという山口秀範氏へのインタビュー記事がありまして、すごいなぁ、立派な志をお持ちの方だなぁと、思っておりました。今月2月11日の「建国記念の日 奉祝北九州市民大会」に、石原代表の伝手でスタッフとして参加させていただいた折に、山口秀範氏とお話をすることができました。
日本のリーダーとなる子供たちを育てるという学校「志明館」を開校されるという偉業をなされた方なので、なんというかすごいオーラをお持ちで、いつもは態度のでかい私がビビッてしまって早口で話をしてしまうという、自分にとっても面白い体験をしました。
その場で、上記明日への選択のインタビュー記事をこのHPに掲載することについてご了解を頂き、日本政策研究センター岡田所長からも掲載許可を頂きましたので、皆様に公開します。
2話に分割します。

習得活用の「土台教育」・偉人伝を使った「人間力教育」・自分で課題をみつける「発憤教育」。これが『志明館」の三本柱です。
今日本で私立の小中学校新設と言えば、得てして英語教育や国際化教育といったことがクローズアップされがちだが、誇りと志をもったリーダーを育てることをめざした小中一貫校が来年四月に北九州市に開校することになり、注目を集めている。この学校設立の推進者の一人である株式会社「寺子屋モデル」社長の山口秀範さんに話を聞いた。
― 誇りと志をもつ入材を ―
― まずは、来春北九州市に設立される小中一貫校の建学の理念といった辺りからお聞かせ下さい。
山口 わが「志明館」は教育理念として「誇りと志を培い、日本で世界で羽ばたく人財を輩出する」を掲げています. つまり、志を正面に掲げて、世界で活躍する人材を育むということです。
この理念を今の親御さんにも分かっていただけるよう、保護者向けのバンフレツトの表紙に、「しなやかにとがれ」というキャッチフレーズで表現しています。どういうことかと言うと、われわれが受けてきた教育は横並びなんですね。先生が教室で一方的に教壇から知識を子供たちに与えて、子供たちはそれを真面目にノートに取っていく 日本では明治以降ずっとそういう教育がなされてきたわけです。
けれども、日本が世界に伍していくためには、これから日本のリーダーとなる人材一人ひとりが、自分が持っている能力をしつかり自覚して、それを磨くという意味で「とがる」ことが必要だと思うのです。
ただし、「とがれ」と言っても、自分勝手にとがるのでは困る。やはり、相手のことを思いながらとがらしていくという意味で、「しなやかに」という言葉を加えているのです。
もちろん、そうした一人ひとりの人格や能力を磨くこととともに、同時に誰かのため、何かのために、できれば自分よりももっと大きなもののために、自分のできる最大限を尽くす。そういう気持ちを小学生の時から併せて持たせようというのが「志の教育」だと思っています 確かに、みんな自分が一番かわいいわけですけれども、やはり自分のためだけに生きるというのでは志にはならない。
志を持つとは、言い換えれば「使命感」を持つという意味でもあり、自然と「志明館」という校名になったということです。
― 土台教育・人間力教育・発憤教育 ―
― そうした「しなやかにとがれ」との理念は、具体的にはどのように学習内容に反映されるのでしようか。
山口 今の公立の小中学校の授業は約約一千時間ありますが、その約七割五分は、先生が国語や算数といった基礎的な知識を与える「習得活用」と呼はれる時間です。要するに、知識や技能を身に付けさせる時間なのです。
では、残る二割五分で何をやるかというと、道徳に一割から割五分、加えていわゆる発展探究学習に一割程度。発展探究学習は探究という習得活用を少し発展させて、自分で何かを考えようという時間です。
こうした枠組みは、学習指導要領で定められており、守らなければならないわけですが、でもそれ以上やることについては問題視されないことになっている。そこで、志明館では全部で一年間千三百時間、公立より三割ほど多い時間を始めから確保しています。というのも、一年生から夕方までずっと学校にいてもらうとともに、土曜日も隔週で授業をします。それやこれやを加えると、三割方時間が多くなります。
一方、学習全体の割り振りはどうかというと、「土台教育」「人間力教育」「発憤教育」の3本柱とし、まず土台教育は、先ほど触れた国語や算数などの習得活用の時間に当たるものです。公立がこれに全体の七制ほど割いているのに対して、その方法は後でお話しますが、私たちは千三百時間のうちの半分又は半分以下で済ませられると考えています。
次の人間力教育は道徳に該当するものですが、習得活用の時間を縮めた分、公立の倍以上時間を割けることになります。残りの発展探究学習に当たるのが「発憤教育」です。これは、論語llの中で孔子が弟子に向かって、自分たちで何かを発見しようとか、何かを表現しようという必死の思いが溢れていなければ、先生は二度と教えないという箇所の、「憤せざれば啓せず、悱せざれば発せず」から名づけました。
― 習得活用の時間を短くして、人間力教育と発憤教育に時間をかけるということですね。
山口 その通りですが、どうして習得活用の時間を短くできるかと言うと、そこには二つの理由があります。一つは、現在の九年間のカリキュラムを経験豊かな先生方にも手伝ってもらってすべて見直したのです。そうしたらどの教科にも意外と重複や反復が多かった。それを整理するだけで、公立が九年間でやることを、八年か七年半ぐらいでできそうなのです。
二つ目は、AI搭載アプリといういわば新兵器の活用です。例えば、計算問題や漢字の書き取りをアプリが進めます。子供たちがチャレンジしてできなかったらだんだん易しくなったり、ヒントを出したりする。正解できるようになると、アプリの判断で次第にレベルが上がっていく。これは、先生がいなくても自分でできます。記憶力に特化した「モノグサ」というアプリを開発した若い起業家と連携します。
こうした工夫によって習得活用(土台教育)の時間が大幅に短縮できると同時に、子供たちの理解力や定着力は、格段に上がります。
続きます。